【ふらっと木曽に関わりある方のご紹介 vol.4】酵母と共にこの土地で~自然発酵種のパン屋「群緑」店主 藤田麻依さん~
第4回目はふらっと木曽のシェアキッチンを利用しながら、イベント出店などを重ね、2024年春に木曽郡上松町に自然発酵種のパンのお店「群緑」をオープンした藤田麻依さんの紹介です。
長野県の南部にある木曽上松町の名勝「寝覚めの床」。川の流れで削られたダイナミックな岩の風景が最近は映えスポットとしてSNSでも人気がある景勝地です。その近くに自然発酵種のパンのお店「群緑」があります。
麻依さん一人でパンを作っているため、営業日は週末の木・金・土曜日ですが、近所の方や常連のお客さんでいつもにぎわっています。
東京・千葉でのパン屋の店長を経験した後、パートナーの木工の勉強を機に木曽郡上松町に移住
出身は千葉県。空港のグランドスタッフとして忙しく働いていたとき、仕事の合間に通っていたパン教室がきっかけでパン作りにはまってしまい、会社を辞めて様々なパン屋で修行。最終的には東京に新規出店のお店を任されるほどの腕前に。そして、働いていたパン屋さんの一つに、*自然発酵種 を使っていたお店があり、そこから自然発酵種を使った今のパン作りのスタイルが始まりました。
*自然発酵種とは? 果物や穀物のまわりに付着する菌を自然に発酵させた酵母のことです。
その後は、パン屋の店長の仕事とパン作り業務も重なり、多忙の日々を過ごしていました。
あまりにも多忙すぎて、ある時、心身共に疲れていまい、1か月の休養をとることに。
その時に思ったことは、「自分の出したいパンを提供で楽しかったけど、心身ともにやりきった!」。
店長を任されていた会社は、循環型農業を基盤に自然環境に配慮した商業施設の運営をしていたこともあり、都市部ではなく、もっと自然に近いところで住みたいという気持ちと、同じ会社で働いていた晋二さんと結婚もきっかけとなり、夫婦で会社を辞めて移住を考えるように。
移住先は、知り合いの多い山梨県か、長野県と考えていましたが、木工を学ぶために晋二さんが長野県上松技術専門学校に通うことを決め、偶然にも二人の知り合いも木曽に住んでいることもわかり、木曽と暮らしている人とつながるきっかけになりました。
移住してからは、和菓子屋さん。トウモロコシの収穫手伝い。ふらっと木曽でのシェアキッチンを使ってパンを焼いてイベント出店などを経て、移住して1年というスピードでパン屋を開業されました。
きっかけは、各月にふらっと木曽で開催している「きそだにマーケット」@kisodanimarket などで、早々にパンが売り切れるほどの反響を見て、「木曽でやってみよう」と思われたそうです。
市販のイースト菌とは違い、自然発酵種は、果物に付着している菌を温度管理をして酵母を育てます。その日の湿度や温度で発酵具合が違うため、管理が難しいのが現状です。
私だったら、きっと「発酵し過ぎた。膨らまない。」などと言ってと投げ出してしてしまいそうです。それでも、ずっと、自然発酵種でパンを作り続ける、その情熱はどこから来るのでしょうか?
「今までたくさんのパンを作ってきたけれど、満足したパンができたことは、数えるほど。飽きないし、楽しい。」そして、「パン作りには、終わりがない。パンを作ることが好き。」
と優しい笑顔で答えてくれました。
上松町倉本地区の雰囲気や近所の人のやさしさに触れて
全国各地から、世代も性別も様々。1年間だけ木曽で過ごしながら、木工を学ぶ上松技術専門学校の卒業生は、ほとんどは木曽を離れてしまいます。その後も木曽に住むきっかけもお伺いしました。
「今住んでいる、上松町倉本地区は、畑や山が近くにあって、自分たちが理想としている暮らしに近かったのと、地域の人が優しかった。」そして、先輩移住者や、同じ時期に移住してきた方。近所の方々。と共に楽しく過ごし、店舗の物件もスムーズに決まるなど、さまざまなご縁が重なり、「今度も木曽に住みたいな。」と思われたそうです。
上松町にはパン屋さんがない地域であり、また、住んでいる倉本地区も若い世代が地域に入ってくれたことは、きっと上松町の方に歓迎されたのではないでしょうか。
さらに、今後やってみたいことや、夢などもお伺いしました。
「今年の夏からはお店で喫茶営業も始まり、今後はサンドイッチなどの総菜系のパンも始めたいし、晋二さんの作る木工品、地元の野菜も販売していきたいです。」
群緑さんのパンをきっかけに、地域のさまざまな、ものや人が行き交う場所になりそうですね。
木曽は谷深く、標高が高いため、澄んだ青い空と山の緑色が濃い地域です。そんな景色の中に、「群緑」のお店があります。「群緑」さんの美味しいパンを片手に、木曽の文化や自然も一緒に味わいに来てくださいね。
「群緑」
営業日 毎週木・金・土 10:00-17:00
住所:長野県木曽郡上松町小川2352, Instagram: @gunroku_kiso
各月第二土曜日の「きそだにマーケット」やその他イベント出店。お店でのドリンク販売・イートイン営業もしています。
ふらっと木曽には木曽町の移住サポートセンターがあるだけではなく、木曽町以外の木曽地域の先輩移住者が当番の日もあります。また、木曽地域の移住に興味がある方は担当者にお問い合わせの上、ご訪問ください。
文・写真:ふらきそメンバー eriko